よい本は心の栄養

 辰巳芳子のいのちをいつくしむ新家庭料理を買った。夫が米原万里さんの嘘つきアーニャの真っ赤な真実と陰陽師の新しいのを買った。

 辰巳さんは理屈っぽくこわそうなおばちゃんだが、理論的な裏づけがしっかりあり、この人の味覚と私の味覚は一致すると感じているので、また料理欲が湧きそうだ。  細胞の喜びとか、身体の声を聞けるひとだと思う。この人のレシピで作ると本当においしい力のある料理はどういうものかが分かる。舌先をごまかす薄っぺらなものは料理ではない。ただの料理本ではなく、生活するとは、いのちを全うするとはと考えさせられる本物の本。

米原さんの本は泣けた。友人との再会の話なんですが、友人との語りが、本当は英語やロシア語でされてるのを、日本語に訳してあるんですけど、その日本語が力強くて、ユニセックスでとてもいい! 文化や歴史を越えた友情が成立する時、あらわれる人間の神髄がちらりと見えるような感じで。

 見えない壁をこえるというのがこの本のテーマかなと思います。その壁とはその人の過去だったり、出自だったり、階級の差だったり、実際の国境であったり。ひとが無意識に作る心の中の壁を越えたいと常に願っている万里さんが、とっても素敵です。

今までは東・中欧の歴史等に無関心だったけれど、これからは意識してゆきたいとおもいました。